経済は感情で動く ―はじめての行動経済学
マッテオ・モッテルリーニ著、泉典子訳、紀伊国屋書店、2008年4月20日 第1刷発行
プロマネ活動に強く影響する部分を抜粋しました。
「・・・リスクを前にしたときも、それがもたらすであろう利益や損失に対して、目に見えて異なった反応をする。 利益がもたらす喜びより、損失による痛手のほうがはるかにこたえるので、それを避けようとして、考えられないようなことをする。 自虐的とも思えるほど危険な賭けに、いとも大胆に出たりしてしまうのだ。」
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プロスペクト理論で読み解くIT開発者の非合理的思考・行動事例
合理性を妨げるいくつかの問題について前節において触れましたが、合理的な解決方法が分かっているにも関わらず、実際の行動に踏み出すことができない場合が非常に多いというのが現場の実感です。なぜ、その一歩が踏み出せないのかという本当の理由が筆者においても長年の懸案でした。この理由に明確な解答を示したものが行動経済学です。とくにその中でもプロスペクト理論は、我々の非合理的な行動の選択の裏にある我々自身の心理的な傾向を明らかにすることに成功しました。
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行動経済学 用語集
ピーク・エンドの法則 peak-end rule Ref3.
ダニエル・カーネマンが1999年に発表した、あらゆる経験の快苦の記憶は、ほぼ完全にピーク時と終了時の快苦の度合いで決まるという法則である。 経験の記憶は主観によって変えられ、その出来事の時間の長さには関係がない、という特徴がある。
医療のみならず、さまざまな経験にもあてはまると見られている。
周知のように、私たちの記憶はものごとの平板で公平な寄せ集めではなく、それにともなう感情が複雑にからんだものだ。だからある経験を評価するときには、その経験の全体的な継続時間などはなおざりにされ、苦痛がもっとも強烈だったとき(出来事の絶頂期ピーク)と最後の時間(出来事の終末期エンド)によって判断されるということがしばしば起きる。 いわゆる「ピーク・エンドの法則」が働くのである。
手短に言えば、その経験をする前は苦痛の少ないほうを選び、経験が終わったあとでは、たとえ(苦痛が)長くても、よりよい記憶を残しているほうを選ぶのだ。
“終わりよければすべて良し”という諺のいうとおりで、仕事においても苦痛を伴う仕事は極力早い時期に済ませておき、終盤はストレスの低い状態でプロジェクトを完了する必要がある。このようにすれば、仕事に対する苦痛の記憶を低減することができるだろう。一方、嫌な仕事をいつも後回しにする人においては、仕事の終盤になって苦痛がピークに達し失敗も多くなり、結局仕事は苦痛であるという記憶が定着してしまい、仕事嫌いになってしまうわけである。