日本人と組織 (山本七平著、2007年6月10日発行、㈱角川グループパブリッシング)
失敗事例の有無が成功を決する
日本の原子力平和利用は大半が輸入であり、すばらしい勢いで技術が導入され、いまではアメリカと比べても、技術水準においては、ほとんど差はないという。しかし彼らは、成功せる五パーセントの成果のほか、九十五パーセントの失敗データをもっているが、われわれにはこれがない。われわれは彼らの五パーセントの成功を導入し活用しているからである。そして失敗の九十五パーセントがないことが、将来への発展の大きなブレーキになっているという。いわば一方は「失敗の記録」の積み重ねから成功を引き出したのであり、一方は、その成果に巧みに対応したわけである。そしてこの失敗はすべて、問題を解決し、成功に転化しうる「成功予備軍」でもあり最も貴重な資産なのである。
過去の失敗のデータの組織化・体系化・索引化が必要である。