プロマネごまめの歯ぎしり365日


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プロマネごまめの歯ぎしり365日 #1~#108
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#145 自助 Self-Help 2021.5.18

【人の振り見て我が振り直せ】

 

 他人の良い所は見習い、悪いところは改めるという意味だが、失敗に学ぶ姿勢の基本である。他人の失敗を見て、自分でなくて良かったということで済ませるのではなく、自分も同じ過ちをおかさないように、他人の失敗の原因にも注意深く関心を持つ必要がある。


#144 自分の時間を自分のためだけに使ってはいけない 

 自分の時間の内、1割ないしは2割は他のメンバーのために使いたい。特に後進の育成は将来の自分の時間を増やしてくれるだろう。


#143 人の誉め方の二態様 2021.4.10

【誉め殺し】

 人を育てる方法として、誉めて育てるという言葉がある。これは未熟な者を育成する場合には非常に有効に働く。一方、同じ方法を優位にある者に対して行なった場合には、その者を自滅させる効果を持っている。優位にある者や組織に対して誉めてほめて持ち上げることを続ければ、その者はつい慢心し、気持ちに油断が生じ自滅への道をたどる危険性が高くなる。これは優位にある者を自滅させる特殊技の一つで、“ホメ殺し”と言う。


#142 自律心の育て方 2021.3.19

【責任を持たせるということ】 

 個人にも責任を持たせることが、個人における自主・自律を育てることにつながる。自分の自律心を育てたいなら、自分を、物事をやらなければならない立場に自分で追い込むのが一番良い方法だろう。上司から責任を持たされる前に自分自身で責任を持った方が何倍も気持ちが楽で効果も上がることだろう。


#141 一人で抱え込んではいけない 2021.3.13

【何でも一人でやるのならチームは要らない】 

 チームや組織は、一人では出来ない仕事をやるために発案されたものだ。部下の技量が心配だから任せられないと言う発言は、私はリーダーとして部下を育てられないダメなリーダーですと宣言しているのに等しい。私がやれば“こんなにうまくできます”などと言いたいのなら全くの認識不足である。プロジェクトは個人戦ではなく組織戦なのだ。


#140 仕事の任せ方 2021.2.18

【任せると丸投げは違う】

  大方の開発チームは時間不足症候群に罹っている。開発者たちを覆っている気分は“あせり”だ。部下に任せたといって、何のフォローも支援も行わないのは仕事の丸投げである。


#139 相手を動かしたければ相手を理解せよ 2021.2.5

  人は自分ひとりだけでは生きられず、人の中でしか生きられない。多くの人の中で生きている限り、必ず自分に対する相手というものが存在する。その関係性の中で生き抜くためには、自分の利だけを押し通そうとすれば必ず争いが生じ、その関係は破綻してしまう。相手を動かしたければ、相手の望むところのものを良く知り、それを与えなければならない。


#138 統合力を失ったインテグレーター(統合者) 2021.1.23

【情報共有は組織的情報の統合で】

 

 情報の共有は個人が保有する情報を組織的に統合管理することで実現可能となる。


#137 いつもうまくいきません 2021.1.13

【プロジェクト失敗の原因はほとんどリーダーのせいである】

 

 プロ野球の負け試合の責任は監督3割、選手7割と言われているが、ソフトウェア開発では、プロジェクトリーダ7割、メンバー3割と言っても過言ではない。


#136 カラスの勝手な人たち 2020.12.27

【手順抜きは手抜きと言うこと】

 たまの息抜きは生産性を向上させるが、手抜きは品質を低下させ余計に手間がかかる。

【ヒトが世界を解釈する三原則】

①ヒトは、同じ環境にいても、それにおのおのの意味を見出し、それぞれが別の環境世界に住んでいる。

②ヒトは、与えられた環境で、最も苦痛の少ない状態で生きようとする。

③ヒトには、自分を中心とした世界があるという思い込みがあり、それに気づかない。 

(大井玄、臨床医)


#135 何について考えているの? 2020.12.15

【視野狭窄(しやきょうさく)】

 周りのことが見えなくなる病気だ。自分のことで精一杯になると、この状態に陥る。ナルシストあるいは自己中心的な人間がかかりやすい眼病の一種。


#134 金の切れ目が縁の切れ目 2020.12.7

  開発費に対してシビアな感覚をもっている開発者は意外に少ない。利益を出すことにシビアな感覚をもっている開発者はもっと少ない。開発費の源泉である精度の高い見積書はまれである。開発費が足りなくなれば誰かが何とかしてくれると思っているのかも知れない。開発費を使い切ってしまった時点が開発終了となり中途半端な設計・製造・テストのまま客先にリリースされることも珍しくない。まさに金の切れ目が縁の切れ目である。・・・・これで良いわけがない。


#133 リスク化してしまった人たち 2020.11.26

【リスクの自覚】

 全ての仕事で最初にやることは、その仕事は何であるのかを知ることからしか始まらない。プロジェクトにおけるリスク回避は、まずそのプロジェクトの特質を十分に”自覚”することにあり、準備段階において情報収集等の処置を講じ、作戦を練り、それに基づいた体制の準備をすることである。仕様要件も決まらないまま開発開始を行うことは、それだけで失敗・敗戦の十分な条件となる。分かっていてもそれを繰り返す人たちは、自分自身が”リスク化”してしまった人間だろう。

 

 目的を共有・理解しない人のリスクは高くなる。顧客の求める価値が分からない人のリスクは高くなる。


#132 サルでもできる”反省” 2020.11.19

【振り返り】

 

 多くの未確定な要素を抱えている開発業務を始めるにあたっての心構えは、”仕事はうまく行かない”ということを前提にした方が良い。うまく行かないことを前提にすれば行動の都度、その行動が正しい結果を生んでいるかどうかを振返ってみる必要性がある。後でやろうは、やらないと言っているに等しい。


#131 なぜ成績が悪いのか~因果応報 2020.11.15

 予習をしなければテストの成績は悪い。復習をしなければ次のテストの成績が悪い。予習も復習もしなければ永久に成績は上がらない。

 事前の準備をしなければ開発はうまく進まない。失敗に学ばなければまた同じ失敗を繰り返す。事前準備も失敗の振り返りもしなければ、いつまでたっても開発貧乏暇なしだ。

 

 これを仏教では因果応報という。


#130 哀れな自滅だけは避けたい 2020.11.8

 柔軟性に欠けた組織は、自己の失敗の中から、その行動、戦法、戦術、戦略の欠陥を科学的、客観的に分析することもせず、新たな改善策を立案、実行もできずに、いつまでも旧来のすでに効果の失われたやりかたで失敗を繰りかえす。失敗に学ぶということは、ただ同じ失敗を繰り返さないという意味だけではなく、自分あるいは組織にとって、その将来性における選択肢を増やすという行為に他ならない。失敗に学ばないという愚鈍さが、結果として膨大な人的・物的な犠牲を発生させるということは、歴史的な教訓だ。このことは平時においても全く同様のことが言える。


#129 ノブレス・オブリ-ジュの精神~相互義務 2020.11.1

 相互義務の履行の反対は丸投げである。多重請負構造の致命的な欠陥はこの丸投げによってもたらされる業務品質および製品品質の著しい劣化にある。安くできるなどという安易な気持ちならば足元をすくわれるような危機的な状況を必ず招くことになる。

 

 古来日本人は常に連帯を保ち、その共同体の上位の者も下位の者もともにその応分の責務を果たし、優位の者こそ大きな義務を負うこととされてきた。このノブレス・オブリージュの精神こそが繁栄の永続的な循環を生み出すことに気づくべきであろう。


#128 丸投げは猛毒 2020.10.26 

 「丸投げ」は仕事における責任の放棄である。丸投げの害毒は他人・他部署を破滅させるだけではなく自分・自部署をも同時に破滅させるものだと覚悟しておいたほうがいい。関係者全てに及ぶ害毒には次のようなものがある。スキルダウン、モチベーションダウン、品質悪化、コスト増加、損益悪化、スピードダウン、生産性悪化、人材の劣化、関係者間の協調関係の破壊、協力者の離反、組織の崩壊。注意すべし、多重請負とオフショア。


#127 過剰さは身を滅ぼす 2020.10.16

 世の中のことは少し不足する程度がちょうど良い。どんな好物でも食べ過ぎれば嫌になり体を壊すもとになる。保険も掛けすぎれば生活が立ちいかなくなる。企業も内部留保金を354兆円(20153月現在)も溜め込めば経済は回らなくなる。

 

 二宮金次郎も次のように語っている。「過ぎたるは及ばざるに劣る。万事、ほどを過ぎるのは、足りないよりも悪い」


#126 初期消火 2020.10.9

 煙の内に消せば火事にはならない。一端着火してからでは火事はなかなか消せない。

ソフトウェア開発でも初期の工程で大方の問題点をあぶり出し解消しておけば、後の工程で大火事になることはない。


#125 精神主義ではどうにもならない 2020.10.3

【期限のない約束は白紙手形】

 期限が明らかでない仕事を請けるということは、期限について依頼者に全権を委任したと言うことだ。10分後に完成してくれと言われても反論はできない。金額欄が空白の手形にサインしたようなものだ。


#124 それでもやめられない悪習慣 2020..26

【イマジネーションは芸術の世界】 

 ソフトウェア開発はロジックの世界であり、自分の勝手な想像で作り上げるものではない。確定仕様に基づかない想定開発は今すぐやめよう。


#123 人は必ずミスをする~リスクは人にあり 2020..15

リスクは人にあり、モノやカネ自体にはない。実はあなた自身が最大のリスクなのだ。


#122 「手抜き」への誘惑~「受入れ」と「受取り」 2020..4 

 ハードウェアにおける購入部品の検査と同じことで、外注から納入されたプログラムは受入れ検査が行われることになっている。しかし納入されたプログラムを検査しない発注者もある。これは受入れではなく単なる受取りにしか過ぎない。このような組織で開発されたソフトウェアがどのようなものになるのか誰にでも分かることだ。


#121 いつまでも有ると思うな時と金 2020.8.28

 複数のものごとを実行するためには、どの順番で実行するか優先順位を決めなければならない。なぜならあなたの時間もチームの時間もお客様の時間もみな有限だからだ。優先順位はお客様にとっての価値の順だろう。同時にタイムリミットが迫っているものからだろう。慣れたものや易しいものなど自分の価値観や好みに従って実行することでは良い結果は生まれない。毎日の日常行動も実行の優先順に実行すべきだろう。今日実行する必要のないものには手をつけるべきではない。


#120 「人がいい」と「いい人」 2020.8.23 

 自分を取り巻く状況について深い洞察に基づいて他人への配慮ができる人の事を「いい人」と言いボーットして自分というものを持ってなく、他人の言に左右される人の事を「人がいい」と言う。「人がいい」人は多いが「いい人」は少ない。


#119 どこまでも譲れるものではない 2020.8.16

 

 「スレッシュホールド(threshold)、閾値(しきいち)」と言う言葉がある。ON/OFFの境となる境界線のことだ。この線を超えるとONと認識され、下回るとOFFと認識される。ON状態を正常領域、OFF状態を異常領域としてみると、正常領域にも異常領域にも領域の幅がある。仕事の業務品質を保つための正常領域における複数の条件を一つずつ外していくと業務品質は段々と低下して異常領域に近づく。そしてある最後の条件を外した時に異常領域に陥ることになる。この最後の条件だけは外すわけにはいかない。業務品質も製品品質もどこまでも譲れるものではない。


#118 速い思考と遅い思考 2020.8.9

【ファスト&スロー】

 行動経済学のダニエル・カーネマン教授の著作『ファスト&スロー』によると、人間の思考のうち熟慮の思考を司るのがシステム2と呼ばれており、直感的思考を司るシステム1に比べて脳の負担が非常に高く、多くの人々の苦手とするところである。論理的思考はこのシステム2(スローな思考)によって処理されるが、たとえば82X38を暗算しろと言われても凡人のシステム2は正確な計算ができない。論理的あるいは複雑なものごとの思考が苦手な人類が最初に発明したものが数字であり言語だ。我々はこのように熟慮が必要なものごとを理解し他人へ伝承するためには、数字を含んだ文章に頼るしか他に方法を持っていない。当然のことながらソフトウェア開発はすべて論理の世界の仕事であるために、数字、言語、文章、文書をベースとしたいわゆるドキュメントベースの仕事が絶対的な必須条件となる。

【二つのシステム】

 「システム1」(直感)は自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。 「システム2」(熟慮)は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。

 

(ダニエル・カーネマン、『ファスト&スロー』(上)p32)


#117 サルでもできるリーダーシップ 2020.8.2

 ついにリーダーシップのなんたるかを猿に学ぶような時代になってしまった。

【高崎山の猿 ベンツ】

 高崎山の猿ベンツは史上最年少の9歳でB群のボスになったが、C群のメスと恋愛。B群を追われ、C群の最下位からやり直し、21年かけて再びボスになった。序列2位のサルがクーデターを起こしたが、1位のサルを守った律義者だった。仲間を守る意識は強烈で、泣き叫ぶ赤ちゃんザルに母ザルよりも早く駆けつけ、個室に閉じ込められた子ザルの側を最後まで離れなかった。A群との集団闘争でもいつも先頭に立った。仲間を守り、秩序を守ろうとするベンツへの信頼は厚かった。死ぬ前年の秋に18日間も失踪した。群れを1週間も不在にすれば仲間とは認めらず、若いサルに攻撃されて悲惨な最期を迎えるのではと、危惧された。ところが彼はすんなり群れに受け入れられた。人間なら100歳を超えるじいさんです。見ていた私も、もらい泣きしました。サルが年功序列を採用しているのは、腕力を競う無用な争いを減らすため。リーダーになりたくてなるサルはいません。天国のベンツは「伝説のボスザル」といまも持ち上げられています。

 

(木本智、高崎山自然動物園、楽猿案内班リーダー)


#116 曲がれない車は必ず衝突する 2020.7.27 

 顧客要求の変化に柔軟かつ自律的に対応することは、まずは顧客満足に寄与することになるが、同時に要求に合わない仕様の発見につながり無駄な開発をなくすことにも寄与し、結果として大幅な時間短縮・品質向上・コスト削減に寄与するだろう。コンティンジェンシー・プランすなわち不意の事態への対処方法を考慮しておくことも必要となる。


#115 物事は複雑化するようになっている 2020.7.20 

 ものごとは大体において複雑化するようになっている。時間が経てば経つほど、関係者が増えれば増えるほど複雑になってくる。複雑になればなる程問題の解決は困難になる。重要かつ緊急な問題は、それに対する知見をもつ少数の人間で処理をするに限る。


#114 終わりよければすべて良し 2020.7.11 

 “終わりよければすべて良し”という諺のいう通りで、仕事においても苦痛を伴う仕事は極力早い時期に済ませておき、終盤はストレスの低い状態でプロジェクトを成功裏に完了する必要がある。このようにすれば、仕事に対する苦痛の記憶を低減することが可能となる。一方、嫌な仕事をいつも後回しにする人においては、仕事の終盤になって苦痛がピークに達し失敗も多くなり、結局仕事は苦痛であるという記憶が定着してしまい、仕事嫌いになってしまうわけだ。これは「ピーク・エンドの法則」として知られている。


#113 私たちの責任 2020.7.4

【責任の背負い方】 

 自分の失敗責任は最小化し、他人の失敗責任を最大化するような人は自己の成長もリスクの回避も無理だろう。失敗の現実を直視できない人のリスクは高くなる。失敗の原因を他者や物に求める人のリスクは高くなる。


#112 仕事の進め方がスピードを決める 2020.6.26 

 遅い・悪い・高いといわれる原因の多くは、技術そのものの能力の低さではなく、仕事の進め方の悪さによっている。何を開発するのかを決めないまま走り出す。やりながら決めていくというような丸投げ的・もたれあい的・無責任な仕事の進め方にこそ問題の真因がある。いくら良いエンジン(技術)を持っていても早く走れない。超高速の開発ツールでも開発を早めない。


#111 雑なコミュニケーションはリスクを招く 2020.6.19

 コミュニケーションのないこと自体がリスクである。他人や他社とコミュニケーションをしない人のリスクは高くなる。信頼されない/信頼できないひとのリスクは高くなる。言っている事とやっている事が違う人のリスクは高くなる。


#110 統制可能な人数 2020.6.12

 一人のリーダーがそのプロジェクトにおいて血の通った統制ができる人数は経験上15人~30人が限度のように感じられる。さらに大きなプロジェクトを指揮するためにはサブリーダーの存在が必要になる。そのようにして大規模なプロジェクトは指揮系統のピラミッドを構成していく必要がある。一人が統制可能な人数を認識していないプロジェクトは間違いなく崩壊することになる。


#109 リスクを排除する力~問題発見力 2020.6.6

 個人ないしはチームのリスク排除力の構成要素は次の4つ。

 ①開発者の能力 ②開発手法 ③開発組織体制 ④開発組織文化

学習をしない人、効果的開発手法にチャレンジしない人、開発体制を柔軟に構築できない人、旧弊にまみれたいつものやり方しか出来ない人や組織は会社にとって大きなリスクとなっている。