日本人の行動原理


日本の社会や企業は明治維新後ずいぶんと欧米化されたましたが、日本人によるソフトウェア開発は外形的には欧米風ですが、その運用の仕方は良きにつけ悪しきにつけ非常に日本的なものが支配的です。私たち日本人のプロジェクトは一体どのような行動規範に基づいて動いているのでしょうか。それを知ることは、私たちのプロジェクトマネジメントに非常に有益なものをもたらしてくれるでしょう。


 ▶日本の伝統的行動規範

   日本の社会における伝統的な行動規範の多くは不文律であるが故に系統だって示されることなく、親から子へ、先祖から子孫へと口伝により伝えられてきました。それらの行動規範は、自然に体得されたものであるが故に、いわゆる「当たり前」のこととして意識されてはいますが、我々日本人に、伝統的な行動規範は何かと問われても、なかなか系統立ってそれを説明することができません。

 過去の歴史を振返ってみるに、日本の国ないしは国民が危急存亡の淵に立たされた時に、その危機を救ってくれたものは、この「伝統的な行動規範」であったと確信されます。明治維新期においても、先の大戦の敗北時においてもまた、我々日本人は、その伝統的な行動規範によって救われました。 

 

▶PM(プロジェクトマネジメント)仕法モデル

 「仕法」という言葉はあまり耳なれない言葉ですが、それは一定の法則に従ったものごとのやり方ということを意味しています。仕法の代表的なものとして幕末の農政復興家である二宮金次郎における報徳仕法があります。

 いわゆる二宮金次郎における仕法は衰退した農業共同体を復興させるための一連の手法でり、経済と道徳の両立を思想的な基盤とし、その手法の基本コンセプトは、人間の自覚の喚起、数値に基づいた合理的アプローチ、相互扶助による集団の力の結集および自分から他者への資金およびノウハウの継承などによって構成されています。

 これらの仕法の基本コンセプトは、現代においても衰退したプロジェクト、集団、組織の再生・復活に強力な効果をもたらすでしょう。